開業の準備についてはビジネスの種類によって労力も費用も大きく変わると思います。
私の仕事は許認可が不要でかつ、パソコンとインターネットさえあればほぼ自宅で仕事ができてしまうため、ここでは一般的と思われる準備と私のケースについてご紹介します。
開業時に準備するものの種類
A. 各種許認可
ビジネスの種類によってさまざまな許認可があります。たとえば、飲食店であれば保健所の許可など各種の許認可がありますので、業種や業態に応じて必ず確認しましょう。インターネットで「個人事業主 開業 許可」と入力すれば、参考になる情報が山ほど検索できます。
ちなみに、許認可の種類をざっくり分けると、難易度順に「免許>許可>認可>登録>届出」となるそうです。私は知りませんでした。
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B. 事業用の銀行口座
個人のお金と事業のお金はきっちり分けて管理する必要がありますので、初めて開業する際は新たに事業用の銀行口座を開設します。
どの銀行でどんな口座を開設するのかは、自分自身が何を重要視するのかによって変わってくると思います。私は手続きの容易さと手数料の安さでネット銀行のビジネス口座を開設しましたが、なにがなんでもビジネス口座にする必要はなく、もちろん普通預金口座でも十分です。
こちらもインターネットで「個人事業主 銀行口座 開設」と入力すれば関連情報がたくさん出てきます。
なお、ビジネス口座を開設する際には「開業届」の控えが必要になります。この場合、銀行手続き時の手戻りを減らすためにも、あらかじめ税務署に開業届を提出しておくことをおすすめします。
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C. 設備や備品
ビジネスを行う上での必需品です。物品や食品の生産・加工、調理、工事、運送などに必要な設備または道具類、IT系の仕事で使うパソコンなどが挙げられます。
個人的には、特別な理由がない限り、開業時はできるだけコストを低く抑えて、ある程度事業の目処が立ってから見直していけばいいと思います。ただ、職人仕事の場合は、それなりにいい道具を使って始めたほうが、品質も効率もアップするかもしれませんね。
なおレンタルの場合、初期費用は少なくて済みますが、ランニングコストを含めて考えると割高なこともありますので、慎重に検討すべきでしょう。
D. 保険関係
ビジネスの内容に応じて必要になる損害保険と個人事業主向けの生命保険があります。
損害保険の中には、自動車保険から貨物保険、店舗向けの保険、PL保険、動産総合保険など、さまざまな種類があります。生命保険では、事業主向け生保や休業補償、傷病補償などがあります。
こちらもインターネットで「個人事業主 〇〇(事業の種類)損害保険」や「個人事業主 生命保険」などと入力すれば関係情報をチェックできます。
ビジネスの中身によって考え方は変わってくるとは思いますが、個人的には開業準備の段階で必要になる保険はあまり多くないような気がします。まずは万が一重大な問題が発生した時(事故を起こした、怪我をさせた、火事で燃えた、壊された など)のリスクに備える必要があるのかどうかの判断になるのでしょう。
私の場合は、いずれの個人事業主向け保険にも加入しませんでした。厳密にいえば、法人との取引契約を結ぶ際に賠償責任範囲を明確にしておく程度です。
E. 販促ツール
集客や商品説明に使うチラシやWEBサイトなどの類です。
ただし、売上の目処が立たない段階で立派なものや見栄えのするものにお金と時間をかけるよりも、たとえ手作りであってもコストをかけずに早くできるものからスモールスタートしたほうが良いと思います。後からいくらでも作り直せますので。
F. 会計ソフト
会計ソフトがあれば確定申告書の作成が楽になったり、レポート機能を使って事業の状況を確認できるようになります。しかし、お金の流れが少ない開業当初はパソコンソフトのExcelを使っても十分管理できると思います。
会計ソフトの中には、最初のうちは無料で使えるサービスもありますので、試してからどうするのかを決めるのも一つの手です。
本当に必要なものとは?
個人ビジネスの場合、当初は仕事に使う作業道具があれば十分です。その他の物は開業に合わせて用意する必要はありません。実際に必要なシーンがやってきてから準備すれば大丈夫です。
特にサラリーマン時代、会社の潤沢な資金で整えられた仕事環境に馴れきっている人は「ドケチにする」ぐらいの感覚でちょうどいいと思います。
私の事例をご紹介します
冒頭の通り、私の仕事はインターネットとパソコンがあればできてしまうため、大きなお金がかかる準備はまったく必要ありませんでした。そのような中で、準備して役に立ったものと役に立たなかったものを振り返ります。
準備して役に立ったもの
合計 6.5万円ぐらい
PCモニタ 約40,000円
パソコンの画面をデュアルモニター(モニターを2つにすることです)にすることで仕事の効率が大幅にアップしました。
オフィスチェア 約25,000円
昔からあったイスのダンパーがヘタって使いものにならなかったので買い替えました。勝手に座面が下がってくることがなくなり、快適に仕事ができるようになりました。
準備したけれども役立たなかったもの
合計 1.5万円
プロフィール用写真撮影代 約15,000円
自分の宣伝用WEBサイトに掲載する目的でプロフィール写真を撮影しました。しかし予想よりも恥ずかしい写真に仕上がってしまいましたので、使う機会のないままずっとお蔵入りの状態です。
役に立ったかどうか微妙なもの
合計 7万円強
仕事用のスマホ本体 約55,000円
個人用と事業用のお金とをきっちり分ける目的で購入しました。ごくまれに電話を使う時もありますが、ほとんどの連絡がメールかチャットで済んでいるため、パソコンで十分なのかもしれません。MVNO(格安SIM)なので毎月かかってくるランニングコストは1,500円〜2,500円程度です。
レンタルサーバー初期費用・ドメイン取得代 約10,000円
自分の独自ドメインとWEBサイトがあると格好いいかな?と思って準備しました。しかし、実際はWEBサイトから受注することはなく、ごく稀に取引先の担当者が興味本位で閲覧してくれる程度ですので、現状は「あっても困らないけど、無くてもいいもの」の扱いです。
なお、WEBサイト自体は情報量も少なく内容も薄いので、DIYで十分だと思っています。SEO対策などは初めの頃は気休め程度にやりましたがすぐに飽きてしまいました。
屋号の入った角印 約5,000円
請求書の押印が個人名よりも屋号になっているほうが「それっぽく」見えると思い準備しましたが、お客さんからすれば屋号があろうがなかろうが関係ないですね。さらにオンライン請求が多いため、使用する機会はほとんどありませんでした。
なお、注文は「はんこプレミアム」というWEBサイトから行いました。一応リンクを貼っておきます。
リンク:はんこプレミアム(外部サイトを開きます)
名刺 約1,000円
お客さんとの初回面談の時に渡すつもりで準備しました。しかし実際は名刺を使う機会がなく、ほとんどの場合、名刺代わりに「主な実績」を書いた資料を渡すことで済んでしまいます。また、そもそもコロナ前からオンライン会議が多く、さらにはお客さんの会社名が入った名刺を用意してくれる事すらあるため、仕事上で使ったのは都合20枚にも満たないと思います。
名刺の注文は「ラクスル」にしました。こちらもリンクを貼っておきます。
リンク:ラクスル(外部サイトを開きます)
こうしてみても私の場合、結局のところ直接仕事に使うもの以外はあまり役に立ちませんでした。