40代で会社を辞めました

会社を退職してからのリアルな話

そもそも開業届は何のためにある?

そもそも「開業届」は何のためにあるのか、目的について簡単に触れたいと思います。

※前提を飛ばして読みたい方はこちらから(本題にジャンプします)

個人事業主として開業する際は、税務署に「開業届」を提出します。開業届を提出するタイミングは、法律上では「事業を開始した日から1ヶ月以内」を原則にしているようですので、事業の開始にあたっては速やかに届け出る必要があります。

ようするに、開業した事実が発生したら税務署に出向いていって事務手続きをします。別の言い方をすると、開業した事実がないのにわざわざ税務署まで行って「開業届」を提出する必要はありません。
そして、税務署に開業届を提出して特段の問題がなければ、その場で“文書収受”と書かれた日付スタンプが押してある控え用紙を渡され、あとは家に帰るだけです。

税務署で渡された「開業届」の控えに押印されたスタンプの日付はオフィシャルな自分の開業日になります。また「開業届」の控え(スタンプが押してあるもの)は後になって使うシーンがありますので失くさないよう大切に保管しておきます。


難しいことなど何ひとつなく単純にこれだけで終わりです。届出書の記入や提出は誰でも簡単にできます。詳しい情報は下記のリンクから確認できますので、ぜひ自分でやりましょう。

A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
総務省|統計基準等|分類項目名

それでもわからなくなった時は、税務署に質問すれば、以下の理由から喜んで丁寧に教えてもられるはずです。

なぜ開業届が必要なのか?

インターネット上では、開業届に関連して所得税の特別控除(青色申告のことです)などの情報を多く見かけますが、開業時に税金のことなど気にかける必要はまったくありません。まだ売上がありませんので。

開業届の目的は、ものすごくシンプルに言えば「自分の地位」を明らかにするためです。

ここで言う「自分の地位」とは、社会的なポジション、つまり「世の中に認められた個人の事業主である」ということです。ようするに“自称”個人事業主ではなく「ちゃんと国に認められた個人事業主としてやっていますよ」と示すために届け出るわけです。
開業届を提出することで「個人事業主としての地位」が明確になり、そうすることによって初めて銀行のビジネス口座などが開設できるカラクリになっています。

いっぽう日本国側の視点で見れば、税金の取りっぱぐれを防ぐためです。個人にしてみれば開業しようがしまいがお金が儲かればいいだけです。ところがそうした状態を野放しにすると確実に税金が徴収できなくなるため「個人であっても事業を開始した日から1ヶ月以内に開業届を提出せよ」となり、開業届を提出せずにこっそり儲けている輩に対して「オマエは脱税しとるな」とするわけです。

ですので、一銭もお金をかけずに自分で終わらせたほうが良い理由はここにあります。
事業者が国ために“やってあげていること”でしかないので。

開業届の提出は最低限守らなければいけない基本ルールとなります。別におめでたいことは何もありませんので、機械的にさっさと終わらせましょう。

開業届でできるようになること

開業届を提出してからできるようになることは、大きく3つあります。

  1. 税金関係(青色申告など)
  2. ビジネス取引(銀行口座開設など)
  3. 社会保障(小規模企業共済への加入など)

つまり、個人事業でお金の流れ(入るお金だけではなく、出ていくお金も)が発生する際は、個人事業主としての社会的な地位を明確しておく必要がある、ということになります。

なお、開業届の記入欄に「所得税の申告方法」をチェックする項目があるのですが、開業したら何がなんでもすぐに青色申告にしなければいけないわけではありません。
自分の事業の成長度合いなどを考慮して、そのまま白色で申告するのか(=青色申告の承認申請書を提出する必要なし)、はたまた青色にするのか、自分で判断すれば良いと思います。ちなみに私は自分の事業の将来見通しが立つようになって、後から青色申告にしました。
※青色申告にする際は、開業届とは別に「所得税の青色申告承認申請書」という書類を税務署に提出する必要があります

私の事例をご紹介します

ご参考までに私は以下のシーンで開業届の控え用紙(収受スタンプが押してあるもの)の出番がありました。

  • 銀行のビジネス口座開設時
  • Amazonビジネスアカウント開設時
  • 小規模企業共済加入時

※サービスによっては「確定申告書」など開業届以外の書類の提出が別途必要になります。