40代で会社を辞めました

会社を退職してからのリアルな話

40代会社員が会社を辞めたくなる訳

会社が嫌になった

私が会社を辞めようと考え始めた時期は40歳代半ばでした。

当時の心境を振り返ると、シンプルに言えばその会社に勤めることが嫌になったからです。特に何かのきっかけになるような出来事があったわけではなく、少しづつ溜めてきた心のモヤモヤが満タンの状態になった、といった感じです。
そして心のモヤモヤが満タンになった途端に何だか仕事がバカバカしく思えてきたのです。中途採用で入社した会社に勤めて6年を過ぎた頃からです。

入社当初から責任のある仕事を任され、それなりに出世して、何よりもその会社ので働くことが楽しかったはずなのに、いつの間にかそんな気持ちに変わっていたので、自分でもちょっと驚きでした。会社を辞めた直後は、まだまだ気持ちの変化の理由を自問していたぐらいでしたから。

本当の理由

今になって考えれば当時の自分が会社を辞めようとした理由がはっきりと分かります。「会社が嫌になった」「バカバカしくなった」と思うようになったのは、ようするに「皆と同じ働き方を続けていたら自分の将来はヤバいかもしれない」という危機感があったからです。

サラリーマンをしていてそれなりの役職に就く頃になると、価値を生み出す生産的な仕事ではなく(部下にやってもらえますので)、“会社のための仕事”がものすごく増えます。ご都合よく言えば“マネジメント”なんでしょうけど。
私は40代がちょうどそのタイミングで、たとえば、何ヶ月もかけて事業方針を話し合ったり、社内に悟られないように諸問題を穏便に解決したりするなど、言葉を選ばずにいうと“茶坊主”みたいな仕事が中心になりました。

しかしこの茶坊主仕事が“経営”なのかと言われると本当は違います。雇われの身であれば無一文になってしまうようなリスクは背負っていませんから所詮は他人事です。進退を賭けた本気の覚悟なんてものは一切なく、定年まで残りわずかの期間の安泰を願いたいのが本音であり人情です。

世の中に目を向けてみると、現代は中高年世代で溢れかえっている逆ピラミッドの状態です。昭和の頃のように「定年後は年金をもらいながら趣味に興じて悠々自適な生活を送る」のは限りなく難しい選択です。

そのような中、自分を含め同僚たちが皆“経営”だと信じてやっている茶坊主の仕事は、突き詰めればその会社の中でしか通用しないマニアックことが中心です。また、職位が上がると価値を生み出す生産的な仕事に直接携わる機会もなくなりますので確実にスキルは低下していきます。そして仮に定年後に再雇用されたとしても、給料は減るわ、居場所はないわ、となる確率は高そうでした。

つまり、当時の私が持った危機感の正体とは、そのまま会社に居座り続けている自分を想像した場合、どんどん世の中に通用しない人間になっていく気がしたこと、そしてさらには将来定年を迎えた後の生活設計やビジョンがまったく描けないことでした。

後から思うこと

もし現在「会社を辞めてどうだったのか?」と誰かに聞かれたとしたら、私の答えは迷わず「あの時に会社を辞めてほんとうに良かった」「もちろん大正解でした」となります。

では「会社を辞めることで危機感は無くなったのか?」と問われれば、まったくそんなことはなく、むしろ今のほうが常に危機感を抱えています。ただし“危機感”の種類はサラリーマン時代のものとは大きく異なります。

会社勤めを通じて私が持っていた危機感とは、今のご時世にサラリーマンであり続ける自分と世の中の流れとのギャップでした。つまり会社に属する自分がいるからこそ生まてくれる感覚であり、いちばんのモヤモヤはサラリーマンでいる自分がコントロールできる範囲を超えるテーマだったということです。
「定年後も高い給料でやりがいのある仕事をオレが辞めると言い出すまでは与え続けてくれ」などと会社に要求したとしても、会社が受け入れる理由はこれっぽちもありません。そもそも若い世代のチャンスを削ぐことは会社の新陳代謝を停滞させ、会社存続の危機を高めることにつながります。

いっぽう現在の私は、サラリーマン時代に抱えていた危機感はほぼ自分でコントロールできる範囲内にあります。
個人として世の中に価値を提供してお金をいただき、稼ぎたければ稼ぎ、休みたくなったら休む、60歳まで働くも90歳まで働くも良し、自分で自分の好きなようにすべて決められる状態です。
また、会社を辞めて個人で仕事するようになってからは、あえて「今の状態が永遠に続くわけではない」といった戒めにも近い危機感を持つようにしていますが、こちらについても自分のコントロール下にあることに変わりありません。

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私は会社を辞めることによって自分がコントロールできない余計なことに頭を悩ませるストレスから完全に解放されました。また当時は考えもしなかったのですが、結果的に「世の中のため」「会社のため」にも多少は貢献できた思っています。

ちなみに何かの本で読んだことがあるのですが、人は自分でコントロールできないことが増えると強いストレスを受けるとのことでした。いかにも健康に悪そうです。

最後に

私が会社を辞めようと思った時は、自分でも上手く理由が整理できないでいました。
次の道に進んでからしばらく経ったある日「ああ、自分のやりたかった事はこういうことだったのね」と気づいたのだと思います。

あらためて当時のことを振り返ってみて、良かったと思えたポイントを2つまとめました。

  • 心の声に耳を傾けたこと
  • 自分なりの答えを求め過ぎなかったこと(答えは後から付いて来ます)